日本教師教育学会 第31回研究大会のご案内
大会実行委員長の挨拶
大会実行委員長 樋口直宏
日本教師教育学会第31回研究大会は、2021年10月2日(土)〜3日(日)にオンラインで開催されます。このたび、大会に向けての諸準備を筑波大学で担当することになりました。
多くの学会でオンラインでの大会開催が行われるようになり、会員同士が直接顔を合わせて議論することが困難となる一方、移動に伴う様々な負担が軽減されたり、画面共有やブレイクアウトルーム等の機能を活用したりといった、新しい形での大会の姿も見えてきました。特に、本学会では昨年度の第30回大会においても、他学会に先がけて自由研究発表やラウンドテーブルを含む、過去とほぼ同様のプログラムで実施しています。第31回大会でも、前回のホームページ上のシステムを活用しつつ運営を踏襲しており、実行委員会として心強く思いながら準備を進めているところです。
その反面、全国各地の会場で大会が開催できないことは、会場校の独自性の創出を難しくさせています。筑波大学の場合、ご存じのように東京師範学校から始まる長い歴史や、11校を数える附属学校、新構想大学としての研究者養成と教師教育といった、多くの特色があります。また大学本部のあるつくば市についても、筑波研究学園都市の開発から約50年が経過する一方で、2005年に開業したつくばエクスプレス沿線では新たな町づくりや学校新設が進められています。このような特色は、実際に足を運んでいただければ自ずと伝わる面もありますが、ヴァーチャル上では難しく、どうすれば「筑波らしさ」を出せるのか苦心しているところです。
これらの状況を勘案しながら、第31回大会のテーマは「教育者の資質・能力と力量を考える:教育現場と教師教育研究との間」としました。コロナ禍において教育現場はどのように変わり教育者には何が求められるのか、そして教師教育研究者はそれにどのように応えるかといった問題について、参加者の皆さんと一緒に考えることができればと思っています。
本学会に所属する筑波大学教員は、実はそれほど多くないのですが、大学院生や本学出身の他大学教員にも実行委員としてお手伝いいただき、円滑な大会運営ができるように精一杯努力しています。多くの会員の皆様のご発表並びにご参加を、心よりお待ち申し上げます。
大会テーマ・趣旨
大会テーマ:「教育者の資質・能力と力量を考える:教育現場と教師教育研究との間」
世界中に広がった新型コロナウイルスは、日本の教育界にも大きな影響を及ぼした。2020年3月から、多くの学校や教育現場は臨時休校となり、児童生徒に対する家庭学習課題やICTを使った教材の作成と配信等、教師は自らの感染にも留意しながら授業づくりや生徒指導にあたった。再開後も、夏休みの短縮、行事の中止・縮小、ソーシャルディスタンスを確保した活動や校内の消毒等、これまでにないさまざまな活動が求められた。また教師教育についても、教育実習の延期・短縮やオンラインでの研修など、新しい形での実践が行われた。
そのような中、2021年1月には中央教育審議会から「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」が答申された。そこでは、Society5.0社会における予測困難な時代の到来における持続可能な社会の創り手となるために、個別最適な学びと協働的な学びの実現が目指された。具体的には、履修主義と修得主義の組み合わせ、小学校高学年における教科担任制の導入、高校普通科の再編と弾力化等が提言されており、特にGIGAスクール構想をふまえたICT教育の充実を強調している点が特徴である。
さらに、2021年3月には「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」が諮問された。具体的には、1)教師に求められる資質・能力の再定義、2)多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方、3)教員免許の在り方・教員免許更新制の抜本的な見直し、4)教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化、5)教師を支える環境整備の5点が事項としてあがっている。国際社会において、OECD(Learning Compass 2030)、SDGs、STREAMのように目指す人間像が多様化しており、教育現場の役割にも変化が見られる。また、人口増加・減少地域の教育、外国人児童生徒や特別支援教育への対応、働き方改革等、教師を取り巻く環境も変容している。その中で、社会、産業界、地域、家庭や児童生徒は、教育現場に何を求めているかを検討するとともに、教師教育研究のこれからの姿やあり方を見定めなければならない。
以上のような問題意識に立ちながら、第31回大会では「教育者の資質・能力と力量を考える:教育現場と教師教育研究との間」を大会テーマとして設定した。教師の資質・能力や力量については、教師の仕事に対する使命感や責任感、教育的愛情、教科や教職に関する専門的知識、実践的指導力、総合的人間力、コミュニケーション能力等ともに、自律的に学ぶ姿勢、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善、組織的・協働的に諸課題の解決に取り組む力といった力量が従来求められていた。これに加えて、時代の変化に対応して求められる資質・能力として、AIやロボティクス、ビッグデータ、IoT といった技術の発展による情報活用能力等が構想されている。中央教育審議会の答申や諮問をふまえつつ、新型コロナウイルス禍が突きつけた諸課題を受けて、これからの教育者にはどのような資質・能力と力量が求められるのかを、教育現場と教師教育研究という異なる視座から多角的に捉え直してみたい。
公開シンポジウムにおいても、教育行政、教育現場(管理職・教師・子ども・保護者)、教師教育研究の視点から意見を寄せ合い、教育者の資質・能力と力量を中心に議論したい。ICTの活用スキル、子どもの個性や学び方の差異への対応力、家庭環境や地域背景への配慮を含めた社会的公正への認識など、論点は広範囲に及ぶものと思われる。学会30年の歴史をふまえながら、本大会が新たな教師教育のあり方を考える第一歩となれば幸いである。
開催概要
名称 | 日本教師教育学会 第31回研究大会 |
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主催 | 日本教師教育学会 |
会期 | 2021年10月2日(土) ~ 3日(日) |
会場 | オンライン (準備校 : 筑波大学) |
後援 | つくば市教育委員会:https://www.city.tsukuba.lg.jp/ 茨城県教育委員会:https://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/ |
日本教師教育学会 第31回大会実行委員会
委員長 | 樋口直宏(筑波大学) |
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副委員長 | 浜田博文(筑波大学) |
事務局長 | 朝倉雅史(筑波大学) |
委員 | 木村範子(筑波大学) 星野真澄(筑波大学客員研究員) 浅野信彦(文教大学) 石﨑ちひろ(常磐短期大学) 内山絵美子(小田原短期大学) 小野瀬善行(宇都宮大学) 鞍馬裕美(明治学院大学) 高野貴大(茨城大学) 張信愛(関東学園大学) 藤井真吾(名古屋学院大学) 森貞美(聖徳大学) 吉田尚史(教職員支援機構) |
協力大学院生 | 4名 |
大会日程(予定)
※ 画像をクリックするとPDFで開きます。
※ 課題研究Ⅰは9月20日の事前開催となります。
<開催形態:オンライン開催>
〇本大会は、Zoom(https://zoom.us/)によるLIVE配信を基本とします。事後配信はありません。
〇課題研究Ⅰは、オンデマンド動画配信になります。10月2日以降、10月10日まで配信予定です。
〇情報交換会は、SpatialChat(https://spatial.chat/)で行います。どうぞご予定下さい。
※ZoomおよびSpatialChatの使用方法はそれほど難しくありません。使用方法の詳細につきましては、9月27日に公開される参加者専用サイトでお伝えいたします。
<参加方法>
■ 学会員の皆様の参加について:学会費全納が条件・事前申込不要・参加費無料
学会費を全納した学会員は、すべてのプログラムに無料で参加できます。参加者専用サイトに入るための情報は、9月27日より「会員情報システム」内に表示されます。
■ 学会員以外の皆様の参加について: 事前申込必要・参加費2000円
本サイトより事前参加申し込みを行い、参加費を振り込んで下さい。総会以外のすべてのプログラムに参加できます。参加者専用サイトに入るための情報は、9月27日以降メールでお伝えします。
■ 公開シンポジウムのみ参加希望の学会員以外の皆様へ: 事前申込必要・参加費無料
学会員以外で、公開シンポジウムのみ参加を希望する方は、9月末日までに、本サイトから事前参加申し込みを行ってください。参加に必要な情報は、9月27日以降メールでお伝えします。
大会までのスケジュール
4月1日 | 大会ホームページ公開、参加・発表申込開始 |
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5月31日 | 発表申込〆切 |
7月31日 | 『発表要旨集録』原稿〆切 |
9月上旬 | 大会プログラム閲覧開始(大会HP上) |
9月15日 | 非会員の参加事前申込、振込〆切 |
9月18日 | Zoom発表者によるリハーサル(Zoom発表予定者にメールで詳細通知) |
9月20日 | 課題研究I (事前開催) |
9月27日 | 全参加者申し込み者に、大会参加者限定サイトのURLをメールで通知 会員情報管理システムの参加者限定サイトの公開 大会要旨集ダウンロード開始 発表者による当日配付資料提出〆切 |
10月2~3日 | 研究大会 |
連絡先
第31回大会実行委員会事務局
〒305-8572
茨城県つくば市天王台1-1-1
筑波大学 人間系教育学域(樋口直宏・朝倉雅史)
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